僕はまだまだ万年筆のことはわかりませんが、日常的に使用するようになりそのメリットを感じるようになりました。
しかし、オフ会などで合う方々はあまり興味がない、または興味があるけど敷居が高いと思われている方々ばかり。
でも、革靴を趣味としている時点で、同じように「沼」に落ちる可能性はあると思うのです。落ちましょう。
というわけで、「革靴が好きな方」(Shoes Lovers)に向けて万年筆に関心を持ってもらうべく(障壁を乗り越えていただくべく)記事を書きたいと思います。
この記事について
記事を書いた理由については述べさせていただいた通りです。
靴好きの方は、「靴」に関連する趣味として、ファッションが好きなことが多いと思います。(ファッションかスタイルか議論はおいといて)
特にスーツスタイルとの関連は強く、靴→スーツやスーツ→靴などの相互関係で興味を持ったりすることがあると思います。
では万年筆は?
やはり近隣に履いても直接的な相関関係はないだと思います。
しかし、メンズファッションのこだわりポイントとしては確実にその地位があり、靴やスーツにこだわる男にとっては十分その魅力を感じることができるものだと確信しております。
当時(そこそこ)話題になった「俺のダンディズム」では腕時計に続く第二話が万年筆でしたし、メンズプレシャス連載(現在は終了)「お洒落極道 著:島地勝彦」の中でもその魅力は服靴鞄同様に語られています。
もちろんこれらの物と肩を並べられるなんぞ思ってはおりませんが、靴好きの方の秘めたる興味を引き出すことができたらと思います。
万年筆のメリット
まずは一般的にメリットと呼ばれるものを紹介していきます。
革靴好きの人に伝わりやすくするためにも、若干革靴の話題を入れていきたいと思います。
書いていて疲れない
万年筆は、毛細管現象を利用してインクを出し、筆記していきます。そしてインクは液体であるため、紙に吸収されるようにどんどん出てきます。
そのため、 ゲルインキなどのボールペンよりはるかに筆圧を必要としません。インクさえ残っていたらさらさらとペンを滑らせるだけで心地いい書き味を味わうことができます。
このような利便性は、革靴で言うのであれば「フィット感」が良く足についてくる喜びを味わうことができるものに近いでしょう。
その道具としての持ち味を向上させ一般的なもの「ボールペン」「スニーカー」と比べて「この辺が便利だよ」と訴えるポイント…それが万年筆では「筆圧がいらないこと」革靴ではぴたりと吸い付く「フィット感」なのです。
字がうまく見える
万年筆で筆記をすると、しなるペン先の効果で字に「アジ」が出ます。また、インクは完全に一定量で続けるわけではないので、若干の濃淡が生まれます。その様子がアジを生み字を上手く見せてくれます。「字のうまさ」とは概ねバランスですが、この味が多少はバランスの悪さをごまかしてくれるのです。
さて、この点は靴でいう所の「きちんと見える」に近しいでしょう。革靴を履くことで、コーディネート全体がなんとなくしっかりする感じです。(程度はありますが)ジーンズにスニーカーもカッコよいですが、ここに敢えて革靴を入れることで大人っぽさが生まれます。
人間関係の中で、節度として求められることを多少底上げしてくれるということですね。
時々ある「いい靴を履いていかないと商談がうまくいかない」「競合相手が万年筆だったから負けた」みたいな都市伝説的な奴はおそらくないと思いますが、同好の方がいると盛り上がるかもしれない程度にはご利益があるでしょう。
その都市伝説は「王様の仕立て屋」に任せておきましょう。
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おしゃれである
これは完全に主観的な「趣味」の領域ですね(笑)
でも、意外と説得力があると思います。「万年筆を使っている」だけでおしゃれに見えるということは、僕も職場で言われました。
「すごい、かっこいいですね(お洒落さを求めて、かっこつけてないでしっかり働け)」という副音声も聞こえますが、そんなもの無視できるくらい僕の万年筆はかっこいいので大丈夫です。
革靴ではどうでしょうか。「履けばお洒落に見える」と言い切ることは難しいですが、先ほどの「きちんと見える」に近く、ある程度「おしゃれ」にしてくれる気がします。もっとも
「お洒落さなどを求めていない。靴との対話を楽しみ、我が精神の一部として靴がある。『靴』そして『我』その境界性を求めていくことが、我が靴道。」
というタイプの方には必要のないメリットかもしれませんがそこは個人差で。
僕は俗物なので、第一目的でないにせよ、そりゃ「おしゃれ」と言われたらうれしいです。
好きなインクで色を選ぶことができる
所謂カスタマイズ性です。万年筆には吸入式とカートリッジ・コンバーター両用式とあります。その違いはまた別の機会に話すとして、すきなインクを入れることができるのは変わりありません。またこの色選びが楽しく、自分の主義主張に合うものを選んでいる瞬間が最高です。
人気商品のパイロット色彩雫(いろしずく)シリーズは名前も各色おしゃれ。日本の風情に合わせた名前がついています。
僕は濃紺色の「月夜」、茶色の「山栗」、朱色の「夕焼け」、緑青の「松露」を所有しています。また、ペリカンのロイヤルブルーやMont Blancのミステリーブラックなど海外製の物も持っています。
通称「インク沼」とよばれ、「万年筆沼」の中にある小型の沼です。(その他紙沼もあります)
この「本体ではなく、その周辺物に興味が集まる」現象、靴好きの方ならお判りですよね?
そう、シューケアグッズがあふれていくあれです。
「茶色のクリームは一色あればいいか」といっていたのに「マホガニー」「ダークブラウン」と増えていき、「いやいやサフィールだけでなく、ブートブラックも試したい」「ならばブラシも各色…」「汚れおとしも光らせたい靴の程度に合わせて…」
これです。
歴史を語ることができる
万年筆が誕生したきっかけは「ウォーターマン」という保険外交員の失敗からと言われております。また各ブランド各々の逸話を持ち、歴史の中に消えていったブランド、ヴィンテージモデルと年代判別、そして「終戦調印のときにはパーカーのビッグレッド」など歴史の中にあるエピソードを語ることができます。
そもそも男の趣味とはエピソード性によるところが大きいと思います。「こだわりについて語る」ことはある意味で女性がうんざりするところですし。逆にそのこだわりについて真摯に聞いてくれる女性を魅力的に思えてしまいますね。
だから革靴好きは革靴女子、バブアー好きはバブアー女子、バイク好きは…とそういった女性を応援するのでしょう。インスタなどを見ても万年筆は女性も趣味の方が多いと思います。(婚活にど…ゲフンゲフン)
話を戻します。革靴ではどうでしょうか?
ほら、語れるでしょう?
「アレンエドモンズは歴代大統領が…」とか「エドワードグリーンはかつてホーキンスを…」「オールデンは障碍者向けの…」「ストレートチップはもともと補強のためにつけられたチップが真一文字の真摯さから…」
蘊蓄の宝庫です。トリビアですね。
それは、万年筆でもできますよ。
経年変化する
これです。
あ、間違えた、先に万年筆のことについて話します。
書き手の筆圧やペンの滑らせ方に応じて万年筆のペン先は書き味が変化していきます。
安価なステンレス製のペン先ではなかなか大きな変化を求めることは難しいですが、この辺は好み。金のペン先のモデルを買えば、自分の書きやすい書き味に変化していきます。金のペン先モデルは1万円くらい出せば買えます。
革靴ほど「目に見える変化」は外観に訪れることは少ないですが、確かな変化はそこにあります。
また、レジンを使っているモデルやスターリングシルバーが巻いてあるようなモデルならば外見の経年変化も楽しめますし。
いったんまとめようナ
万年筆のメリットについては、革靴好きの方は容易に感じることができると思います。
思ったより文量が増えてしまったので、「デメリット編」については次回(2)に持ち越します。
万年筆よりもボールペンが普及していることからも分かるように 「デメリット」も存在するのですが、革靴好きの方ならすぐに乗り越えられると思いますよ。
手前味噌な記事ではございますが、モチベーションになりますので、「はてなブックマーク」「スター」「コメント」などお待ちしております。