真冬も終わりを迎えようとしています。
今年は外出が少なかったことから、「アウター」よりも、「ニット」のほうが活躍しました。
特に、Andersen-Andersen、ブルックスのカシミヤなんかは毎週大活躍。
平日も休日もよく着ました。
一方で、休日にしか着られないけどワードローブの一線で活躍し続けてくれる
インバーアラン6Aもエースニットとして頼りになります。
さて、光あれば陰あり…
活躍の頻度が下がっているニットも。
それはこちら。
ラルフローレンらしい、デザイン。
厚みのあるぬくもりのある手編みの 羊毛。
魅力は十分にして、なぜいまいち活躍しづらいのか…それはずばりサイズ感。
やりすぎではないものの、ところどころ「たまり」が気になるがゆえに平日は着られないし、休日にもいまいち「選ばれにくい」ポロカントリーのニット。
特に、(構造上仕方ないのですが)袖先、裾などのリブのあるところにできてしまう「だるん」としたたまりが気になって…
このまま着られないのならばいっそ、縮めてみようか…と思い立ち、久々の「セルフ加工実験シリーズです」
※余談ですが、当ブログのこのシリーズ人気なのは「墨染ラコステ」です。
ニットを縮めるには
縮絨加工
ウール素材を縮めるといえば、 最初に思いつくのが「縮絨(しゅくじゅう)」
ウールの繊維を石鹸や水で、起こし絡ませ合って縮めるというアレ。
キルトなんかで行うと、糸と糸の色の境目がフェードし、ぼやけたようになって美しくなります。
「フェルト化」なんて言いますね。
詳しくは「縮絨」でググってください。
もちろん、本格的な縮絨はできないので、「もどき」で。
アクリル石鹸で洗い、洗濯機での水洗いおよび乾燥機を使っての乾燥で行きたいと思います。
縮絨といえば
製品縮絨などの加工で有名なのは「コムデギャルソン」ですね。
所有はしていませんが、縮絨ウールのジャケットは素晴らしい風合いだったと記憶しています。
また、以前記事にもした「Original Blend」のストールも縮絨された生地を使用しているものもあります。
手順
さて、方針が決まったところで、洗濯機を使った「縮絨もどき」=「縮ませ」を計画していきます。
今回はローゲージであること、太い糸を使っていることからそこまで極端な縮はしないだろうと予想。
様子を見ながら、2回に分けて調節をしようと思います。
羊毛の油がしみこんだ生地とはいえ、あまりに複数に及ぶとパサパサしてきてしまいそうだから‥‥
というわけで、以下の流れで実践。
- アクリル石鹸をしようし、水洗い(5分)
- すすぎ1回
- 乾燥機30分
- 点検・確認
- 1~3をもう一度
- スチームアイロンで形を整える
さて、結果は…
結果
結論として「ほどほどに」縮みました。
一応は「成功」の部類に入れてもよいと思います。
まずは、画像で変化を見ていきましょう。
サイズ比較
正面から
上:Before 下:After
全体としてすっきりしたように見えます。
まったくなくなったわけではありませんが、お腹周りの脂肪のような「たまり」が減っています。
また、手首周辺の「たまり」は解消されました。
背面から
上:Before 下:After
※若干裾の伸ばし具合が違うのですが…
背中も「たまり」が消えてすっきりしています。
手を広げて
上:Before 下:After
袖についてもすっきりしました。
ただし、「太さが変わった」というより「長さが変わった」感じ。
余分な袖丈がなくなった分、すっきりして見えるのだと思います。
数値上の変化
単位はセンチです。
身幅(胸) 48 → 47
身幅(裾) 41 → 40
着丈 68 → 64
ゆき丈 80 → 72
アームホール太さ 28 → 24
やはりといいますか、縦には縮んでも横にはあまり縮んでいません。
生地感の変化
さて、「縮ませる」ということは、「切除する」とは違って、服の中にもとあった生地が残っていることを指します。
元々の縮絨が、フェルト化させることで目が詰まり触り心地が変わるように、このニットも生地感に変化はありました。
「フェルト」ほどまではいかないですが、太い糸の目がぎゅっとつまりより「しっかりとした糸」になりました。
コシが強くなったイメージではありますが、「がっちりした」とまでは言えない程度。
伸縮性も、羊毛の油も残っているのでむしろ良かったのかも。
気になるところ(デメリット)
とはいえ、すべてうまくいったかといえば、そうでもなく。
- 首元、裾のリブ編みが締まりすぎて、脱ぎきしづらい
- 胸周りの「余裕」がなくなり、ハイゲージニットの様に「ぴたり」と吸い付くように。やや「ヌーディー」というか「セクシー」に。重ね着するとものすごく「太って(肉々しく)」見える。
といった点も。
とはいえ、この辺はクリアしやすい課題なので、まだよい方だと思います。
また、
- 完全にお腹の「たまり」が消えたわけではない
という課題も。
これは、ニットの縮みが「縦」には大きかったものの「横」にはそんなに縮まなかったことに加え、身頃と裾の編みの強さの違いは変わらないことに起因するのではないかと思います。
解消するには、裾を再度編みなおせば良い気がしますが、そんなことができるのか、よしんばできてもそれはもう違うニットではないか…と思うので諦めます。
まとめようナ
個人的には大満足の結果になった今回の縮絨もどき
たまたまいい塩梅で終えることが出いましたが、なかなかリスキーだったな…と。
もう冬は終わりが見えてきていますが、もう少しだけこの生まれ変わりニットを楽しみたいと思います。
真似するときにはくれぐれも自己責任で